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くすりの授業 進め方と学習指導案

これから示す内容はあくまで協議会の想いです。こうでなければならないということではありません。
授業は受ける人にとって「参考になる」、「ためになる」、と認識され、実行されることが目的です。
先生の児童・生徒に対する思い、情熱が児童・生徒の心を動かし、行動されれば形式は二の次だと思っています。

どんな授業を想定していますか?

 ある中学校の2年生を対象とした調査では、「自分の判断でくすりを飲むことがある」生徒が約45%、「サプリメントや栄養ドリンクを飲んだことがある」生徒が約49%に上っています。それほど身近であり、自分が健康に過ごすために必要とされるくすりについては、長らく正しい使い方についての指導は行われてこなかったのが現状です。

 しかし新しい学習指導要領では、平成24年度から中学3年生で医薬品の正しい使い方の教育が約40年ぶりに復活することになりました。

 それでも、くすりはもっと小さい時、小学校に入る前から、怪我をしたり熱を出したりなど、普段の生活の中で使うもの。また、誤って使えば副作用が出たり、敢えて本来でない使い方をすることで、社会問題にもなるものです。

 当協議会は、子供たち、生徒たちがいざくすりを使う時に、本当に必要な基本的な知識と判断力を持ってもらえるよう、実験や模型を組み合わせ、なぜそうなのか?ルールの意味と理由は何なのか?を理解してもらうような授業や指導を想定しています。

授業をはじめる前に -児童・生徒の立場に立つ-

 「授業」は知識を伝えることが目的ではありません。児童・生徒が必要時に教わったことを実践することが目的です。ただ知識を伝えて「してはいけない」と押し付けるのではなく、児童・生徒に理解してもらうことで、例えば「きちんと時間を守って飲もう。そうすれば一番よくくすりが効くから。そうしないと副作用が起きたりするかもしれないから」、と自発的に行動を変えることができます。

 「自発的に行動を変えさせる」ためには、児童・生徒が普段抱えている、くすりに関する問題点や不安が何かを事前に把握することが効果的です。それらに答えたり、正しい知識を伝えるような授業を行うことで、より確実に児童・生徒の行動の変化につながるのではないでしょうか。協議会ではそのために、事前アンケートを行うことを提案しています。

 事前アンケートには、例えば「くすりを飲み物なしで飲んだことがある」などの幾つもの項目があり、児童・生徒の多くがその質問ににチェックした場合、学習テーマD「くすりを飲む時の注意」を使用するなどの指標となります。 事前アンケートの結果による授業内容の選定や、学習指導案の作成により、より効果的な授業を行っていただけるものと思います。
アンケート(小学校向け/中高一般向け)解説ページはこちら

授業の流れ -4段階で組み立てる-

 授業は、身近な話題による導入⇒クイズによる問いかけ⇒実験や模型、図説による検証⇒まとめ、の4段階があります。問いかけと検証は小さなテーマ毎に繰り返します。

導入問いかけ検証まとめ

授業の内容 -決定と工夫のポイント-

  • 4段階を組み立てる際、話す内容に優先順位をつけ、その単元で必ず憶えてもらうことを明確にして、授業にのぞみます。
  • 児童・生徒の対象年齢が低ければ、マンガやアニメのキャラクターを使って説明するのも、工夫のひとつです。
  • クイズ形式で問いかけ、児童・生徒に回答してもらうことで、授業に積極的に参加してもらいます。
  • illust授業で扱うことを決めた内容は、実験などでインパクトを与えて必ずおぼえてもらうように工夫します。そのために、「目で見て」⇒「理解して」⇒「実際にやってみる」。実験を行う際には児童・生徒に手伝ってもらったり、代表で実験をしてもらって他の児童・生徒に見せてまわってもらうことなど、参加型実験を授業に取り入れると効果的です。
  • 授業の終了時には、授業内容を簡単にまとめておさらいを行います。

(参考例:1時間授業の構成)

導入

●導入

 最初に、最近病気や怪我をした人?、病気ってくすりを使わないと治らないと思う?など、自分の最近の健康や、自分の経験に基づいて話を展開します。

 人間に元から備わる自然治癒力と、くすりの働きについて解説します。

(使用テーマ例:A くすりの正しい使い方)

問いかけ
検証

●問いかけ ●検証

 問いかけて考えさせる部分です。

 例えば、くすりってどうしてコップ1杯の水で飲むの? という問いを考えさせ、濡れた手でカプセルを触るとくっついてしまう実験を通して、少ない水で飲むと自分に何がおきるのか、置き換えて考えてもらったりします。

 大型の模型を使用して、くすりの仕組みを視覚で確認したりもします。

 さまざまなルールを、問いかけと検証を繰り返して理解していきます。

(使用テーマ例:B くすりの効き方、C くすりの種類と形 D くすりを飲むときの注意)

まとめ

●まとめ

 ルールを再度復習し、心と体の健康について、再度確認します。

(使用テーマ例:F 体とこころを健康に保ちましょう)

授業の評価と振り返り

 授業が終了したら、授業は理解されたか、問題点は解決したか、今回の学習内容は実際に役に立つか、興味を持った点など、アンケートを取ることで、より正確に把握することが出来ます。また、次のステップアップした授業の必要性もアンケートから読み取れる場合があります。 今までの例では、基礎的な部分を学習した後は、くすりの出来るまでなどが興味を持つ点のようです 。

 協議会では、授業後のアンケートのテンプレートを用意していますので是非ご利用ください。また、無料貸出教材を申し込まれた方はアンケートの集計と解析を協議会よりフィードバックしています。
アンケート(小学校向け/中高一般向け)解説ページはこちら

授業の環境

  • 当協議会の教材は、パワーポイント版、PDF版がありますが、いずれもパソコンとプロジェクターを利用する必要があります。そのような機材を用意できる教室や、視聴覚室、図書室、理科室が、授業に適しています。
  • 児童・生徒参加型の授業を行うために、できるだけ先生と児童・生徒の距離を短くし、質問しやすくします。
  • より実験の効果を狙うのであれば、「理科室」を使用し、各テーブルで実験を行い全員が目の前で実験結果をみることで、インパクトが大きくなります。また実験で使用するビーカー、試験管、シャーレ等について、理科室の備品が使えるので便利です。
  • 保護者に参加してもらうことで、保護者、児童・生徒ともに、くすりの正しい使い方と気をつけるべきルールを共有することが出来ます。

授業のスタイル

  • 授業は教諭、学校薬剤師の2名によるティーム・ティーチングが理想です。

 授業のプロフェッショナルである教諭(養護教諭または担任教諭)が授業の組み立てと進行を担当し、くすりのプロフェッショナルである学校薬剤師が、くすりの専門的な事項(例えば相互作用など)についての説明を行うのが、望ましい進行方法です。

 ティーム・ティーチング方式であれば、児童・生徒から出される専門的なくすりについての質問に、学校薬剤師が答えることができます。(当協議会のアンケート結果によれば、児童・生徒より、具体的な医薬品名を挙げられたり、インフルエンザやサプリメントなど、メディアに取り上げられる最新情報についての質問が出されることもあるようです。)

 また、質問に回答することで、児童・生徒は「くすり」のことは薬剤師に聞くものであるということを体験的に覚える事ができます。

 なお、中央教育審議会から平成20年1月17日に出された答申でも、「、医薬品は、医師や薬剤師の指導の下、自ら服用するものであることから、医薬品に関する適切な知識を持つことは重要な課題であり、学校薬剤師がこのような点について更なる貢献をすることが期待されている。」とされています。

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