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海外教育レポート

2009年5月15日

第17回 くすりの学校教育 海外レポート ~フィンランド~

大変お待たせしました。フィンランドの学校でのくすり教育の取組み、その1の後半をお伝えします。

フィンランドの学校でのくすり教育の試み−ピクトグラムの理解度調査−(後半)
               くすりの適正使用協議会海外情報コーディネーター 鈴木 伸二


 この表から分かることは、ほとんどの生徒がピクトグラムを正しく理解していたが、実際の表示が意味することと反対に理解した生徒が若干居たということで、これはピクトグラムの四角形、丸形のもつ意味が十分に理解されていなかったためと考えられる。たしかに、交通標識に慣れている人には丸型で横線が入っている場合には禁止の意味があることは自明かもしれないが、いまだそのような経験の少ない生徒には、必ずしもそれが理解されないのかもしれない。それにしても、言葉の解説が全くなく、このようなピクトグラムをはじめて見ただけで多くの生徒が正解を示したことは、このピクトグラムの意義が極めて大きいものと言えるだろう。しかし、中には普通の大人でもその理解に困るものがあり、例えば「決められたくすりは最後まで服用」の3コマ表示は、正しく理解するにはかなりの無理があるのかも知れない。

年齢別の理解度


 さらに、これらの結果を回答者を年齢別に分けた正解率で見ると表2のようになる。

表2


 このような調査を通じて学ぶべきことは、交通標識と同様、ピクトグラムはそのすべてが全員に正しく理解されて初めてその存在意義があり、その普及には地味な努力が求められるということだ。例えば、小学生の理解を深める手段として、日本的な紙芝居を利用するのも1つの方法かも知れない。そのほかにも大衆薬の外箱に代表的なピクトグラムを印刷しておくことも間接的に普及につながるかもしれない。このようにして、多くのピクトグラムを普及させるには、かなりの忍耐と時間を要するものと覚悟しなければならないだろう。なお、このほかピクトグラムとは関係ないが、副作用とは何ですかの問いに対して、調査に参加した生徒全員が、吐き気、下痢、皮膚発疹と答えていたのは興味深い。


参考文献
◆K.Hameen-Anttila et al
Patient Education and Counselling 55:371-378 (2004).
[注:なお、似たような試みが南アフリカでもなされ、その結果が発表されている。(Patient Education and Counseling, 45.2:87-99, 2001)]
上記の調査に出てくるアメリカ USPのピクトグラム

次回もフィンランドのお話、7才から14才までの子供たちが病気とくすりの関係性をどの程度理解しているかの年齢別調査なども出てきます。
お楽しみに!


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