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海外教育レポート

2008年5月1日

第16回 くすりの学校教育 海外レポート ~フィンランド~

近年、北欧の国フィンランドでも学校でのくすり教育への関心が広がっており、平成13年から平成18年までは義務教育となっていたようです。その課題の1つが、アメリカのくすりのピクトグラムの導入でした。今回はそのピクトグラムをテーマにご紹介します。


フィンランドの学校でのくすり教育の試み−ピクトグラムの理解度調査−
               くすりの適正使用協議会海外情報コーディネーター 鈴木 伸二


 今までは欧州各国のくすり教育の現状をレポートしてきたが、今回のレポートは全般的なカリキュラムの実態報告という観点からではなく、当協議会も進めているくすり服用に関連したピクトグラムの理解度について小学生、中学生を対象にしたフィンランドでの調査報告を紹介する。


フィンランドのくすり教育 


 くすり服用に関するいろいろなピクトグラムが小学生、中学生レベルでどのように理解されるかとの興味ある調査報告である。なお、EU圏内にはいろいろな国が存在し言語も異なるので、くすりの外箱へのピクトグラムの表示がすでに提案されている。(Article 62, European Parliament, Directive 2001/83/EC)

 フィンランドの学校でもくすり教育への関心は数年前から広がり、小学校でのくすり教育をどのように実施したらよいかとの研究、検討が行われている。その検討の段階で、アメリカで採用されているくすり関係のピクトグラムが取り上げられているのは当然の成り行きであろう。日本でもすでに当協議会が中心になって、同じようにアメリカのピクトグラムを参考にした日本版試案が発表され、その普及の試みがなされている。
 
 フィンランドでは、このピクトグラムが実際に使われた時どのように理解されるのだろうかという観点から、小学生、中学生レベルの生徒にたいしてその理解度が調査されたことは興味深い。(なお、フィンランドの学校制度は原則的には7才から16才までが基礎学校と呼ばれ、義務教育期間となっている。)ちなみに日本語では「くすりを飲む」という表現が使われるが、フィンランド語では「くすりを飲む」は「くすりを食べる」とも表現される。日本語でも「くすりを飲む」は俗語的表現であるが、くすりを食べる、も考えてみれば日本語のその表現以上に俗語的な表現かもしれない。

 なお、フィンランドの学校でのくすり教育は平成13年から平成18年にかけて段階的に全国の基礎学校で導入することが義務化されていた。その一環としてくすりに関するピクトグラムも検討課題になっていた。


ピクトグラムの理解度

 実際にピクトグラムがどのように理解されるかとの調査が、フィンランド地方都市の基礎学校の生徒を対象にして行われた(N=90)。その構成は、1学年生(6-7才)が28名、5学年生(10-11才)が31名、7学年生(13才)が31名となっている。なお、この調査に用いられたピクトグラムは、アメリカのUSP(The United States Pharmacopeial Convention Inc.)が作成したものを利用しているので、その図柄は必ずしも当協議会が作成しているものとは同じではない。この調査に際して生徒はピクトグラム自体についての事前説明はなされておらず、ただ生徒各人に、ある図柄についてそれがどのようなことを意味するのかインタビューがあることのみが、あらかじめ説明されていた。インタビューアーが一人ひとりの生徒に面接し、それぞれのピクトグラムを示し、その意味が質された。示されたそれぞれのピクトグラムには言葉の解説は全く付いていない。その結果は表1のとおりである。(表示ピクトグラム数は15)


大きい画像はこちら
【表1】
 

 みなさんはどの位正解しましたでしょうか?是非、日本版のくすりのピクトグラムでも試してみてくださいね!
 次回はこの表から読み取れるピクトグラムの意義と課題、そして更に、6~7才から13才までの年齢別正解率をご紹介します。


●本稿についての質問、コメントなどはこちらまでお願いいたします。

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