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海外教育レポート

2008年2月1日

第13回 くすりの学校教育 海外レポート ~ドイツ~

前回はサッカーに励む活発な少年のケースをお話しましたが、今回は思春期を迎えるナイーブな少女のケースをご紹介します。このように男の子と女の子の成長過程での違いを意識しながら教えていることは子ども達にとっても参考になるのではないかと思います。

生徒同士がお互いに討論しながらくすりに対する理解を深めていく 
               くすりの適正使用協議会海外情報コーディネーター 鈴木 伸二


「痛み」にもいろいろな種類がある 

痛みについていろいろな種類があることを認識するためのシナリオを先生が読んで聞かせる。

[シナリオ]:
サビーナは学校での成績があまりよくなく、ときどき両親からはいろいろ言われるので頭が痛い。また、上の学校への進学が迫っているが、仲良しの友達と一緒に同じ学校に進学できなくなる可能性があるかもしれないと考えるとこれもまた頭痛の種になる。それらの影響かどうかは分からないが、サビーナはときどき頭が痛くなる。お母さんはそんな時には頭痛のくすりをくれ、それを飲むと治ったような気がする。

 
このシナリオを基に生徒に次の点を討議させる。

1)サビーナの頭痛はどう解釈したらよいのか
2)頭痛があったとき、サビーナと同じようにするか、そして、頭痛に関してみんながそれぞれ思い浮かぶ関連性項目を自由に列挙させる。(マインド・マップの作成)


これらの結果を踏まえて、痛み一般の知識を習得する。


グループディスカッションで理解を深める

 さらに、各家庭には必ずといってよいくらいくすり箱があり、何らかのくすりが保存されているので、その中に何が入っているかを調べることによって改めてくすりを身近な存在として認識させ、その次の過程として、痛みに関連していろいろな鎮痛剤について理解を深める。つまり大衆薬としての鎮痛剤をとりあげ、そのくすり箱の中に入っている使用説明書を理解するために、グループディスカッションをすることにより、錠剤は一回に何錠服用するのだろうか、一日に何錠服用するのだろうか、子供が服用する場合にはどのような注意が必要なのだろうか、などについての理解を深める。さらに、剤形、使い方、副作用などにも触れ、最終的にはかぜ薬、せき薬などについても前期のグループディスカッションを通じて勉強する仕組みになっている。 
 このようにドイツのくすり教育ではそれぞれのテーマについて生徒同士がお互いに討論しながら理解するというやり方が主体となっており、ただ単に生徒が授業を受けるといった受身的な方法が取られていないことである。もっとも、前号でも言及したように、これらの取り組みは全国的な指導要領を念頭に置いたものであり、ドイツ国内の各州によっては必要に応じて独自のプログラムが別途作成されている場合もある。たとえば、ボンのBad-Godesberg にあるギムナジュウムでは生徒たちが自作したドラッグ、いわゆる麻薬類、の意義、害などを理解するためのCDを作成している。
写真2:ギムナジュウムの生徒たちが自作したCD

 少女の頭痛の「痛み」に対し、母親がくすり箱から出す鎮痛剤を通してその他のいろいろな鎮痛剤があることや、くすりの使用説明書から錠剤の服用方法や、子どもが服用する場合の注意を学び、単なる受け身ではなく子どもたちのグループディスカッションを通じて勉強していく仕組みもご理解いただけたと思います。
 次回からはイタリアのくすり教育をご紹介いたします。お楽しみに!


●本稿についての質問、コメントなどはこちらまでお願いいたします。

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