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海外教育レポート

2007年10月1日

第9回 くすりの学校教育 海外レポート ~イギリス~

高学年になるにつれてくすりの概念が拡大し、中心はドラッグへ

               くすりの適正使用協議会海外情報コーディネーター 鈴木 伸二
 
 

 今回は前のレポートでご案内したように、カードやQ&Aシートを使用しての授業や高学年を対象にしたドラッグ教育。ドラッグか使用されるいろいろな状況を設定し、それらの対応法を討論させるなど授業の一端をご紹介します。

3種類のカードでドラッグについて理解する <5~7歳>

 イギリスのくすり・ドラッグ教育の教材として、HIT社が作成しているトランプ式カードを紹介しよう。この教材は橙、黄、青のカードが各13枚ずつ、合計39枚のカードから構成されている。



黄色カードには表にドラッグの写真があり、その裏面にはそのドラッグが法律ではどのような扱いになっているのかという説明がある。橙色のカードには、そのドラッグがどのような効果を持っているのかという文章があり、その裏面にはどのような弊害があるのかという解説文がある。そして青色のカードには、ドラッグのカテゴリーとその俗称、裏面にはその意味、医学的用途、どのように使われるのかの解説文がある。
 興味深いのは、それぞれのドラッグの俗称である。普通の辞書には載っていないような名称が記載されている。例えばタバコの俗称では、C I G S 、S N O U T 、FAGS、BACKYが記載されている。
 これらの3種類のカードを机の上にランダムに広げ、それぞれの裏面に書かれてある文章を児童たちはお互いに読み上げる。そしてカードの正しい組み合わせを見つけ出し、そのドラッグについて理解するという仕組みになっている。

くすり教育の中心はドラッグへ <高学年>

これらのカードを使うやり方以外にも、Q&A方式のシートを使っていろいろなドラッグの法的規制、意義、効果などを習得するやり方もある。例えば「9歳の学童はタバコを吸ってもよいか」「15歳の学童にビールを売ってもよいか」「紅茶やコーヒーはカフェインを含有しているか」などの問いに対し、イエスあるいはノーを記入させるという方法も採り入れられている。
 また、いろいろな状況を設定し、その時にどのようなことをなすべきかといったテーマで討論させる授業もある。「10歳の友だちがバスの中でタバコを吸っているのを見た時、どのような態度をとるべきか」「9歳の学童が校庭で針のついた注射器を見つけた時、どのようにすべきか」などが討論のテーマとなっている。
 高学年(Key Stage 2~4)になると、くすりそのものの概念が拡大し、その中心はドラッグに移行していく。

豊富なくすり教育に関する資料

もちろん有料の出版物もたくさん発行されている。目的に応じてそれぞれを利用されたらいいと思う。
またこのイギリスのくすり教育の全体像を把握するには、以下のサイトからも情報を得ることができるので、一見をお奨めする。
 またくすり教育に携わる教師のための教材も豊富に販売されている。

●Drug education/Government education/Drugs:Guidance for Schools(関連サイト)
http://www.teachernet.gov.uk/wholeschool/behaviour/drugs
http://www.hit.org.uk
http://www.drugscope.org.uk
http://www.standards.dfes.gov.uk
http://www.abpischools.org.uk

 イギリスのくすり教育の評価については、研究論文が発表されている(Health Educ.Res. 2001;16(5):609-22)。また全般的な「くすり教育ガイドライン」は無料でダウンロードできる。このガイドラインは大変参考になる。
http://www.publications.teachernet.gov.uk/ 
 なお最近注目されるのは、このくすり教育に関連して「健全な学校」プランが導入、推進されていることである。現在イギリスでは、2012年のロンドンオリンピック開催に合わせ、それまでに健全な学校の環境整備を目指したキャンペーンが展開されている。その一環として、このくすり教育も重要視されているわけである。

いかがでしたか、それにしてもイギリスにはくすり教育に関したサイトがいろいろありますね。この機会に是非とも参考にしていただければと思います。特に「くすり教育ガイドライン」は是非ダウンロードしてみてください。ヒントになることがいっぱいあると思います。

次回は隣国ドイツにおけるくすり教育の事情をご報告したいと思います。今までご紹介した国とは違う国民性が感じられる内容となっています。
それでは次回をお楽しみに。


●本稿についての質問、コメントなどはこちらまでお願いいたします。

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