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海外教育レポート

2007年9月1日

第8回 くすりの学校教育 海外レポート ~イギリス~

海外レポートをお読みいただいているみなさんには、申し訳ありませんが先月はお休みをいただきました。今月も引きつづきイギリスのくすり教育についてお話をしたいと思います。
子どもたちにどう教えたら理解してもらえるのか、そのための工夫を今月と来月の2回にわたって報告します。ここではくすりの知識と同時に、自分たちの身体の構造やその機能、健康の意味など基本的なことから教えていくことの重要性を伝えています。


高学年になるにつれてくすりの概念が拡大し、中心はドラッグへ
               くすりの適正使用協議会海外情報コーディネーター 鈴木 伸二
 

 前回の「くすりの学校教育 海外レポート ~イギリス~」で報告したように、イギリスの学校教育におけるくすりの概念は極めて広い。そのような背景のひとつとして挙げられるのは、イングランドとウェールズだけでも20万から30万の児童の家庭がくすり関連問題を抱えており、そのような家庭の児童に対して正しいくすり教育を実施することは極めて大切であるとされている。イギリスの学校教育の管轄はDFES(Department for education & Skills=教育・技術局)である。どのように実施するかは各学校当局にかなりの自由度が認められている。例えば「狭義のくすり」、つまり医療用医薬品についての教育は5~7歳のKey Stage 1の児童に対して行われるのが原則だが、現実に合わせて「広義のくすり」、つまりドラッグをも含めた範囲の教育が導入される場合もあるようだ。その判断は学校に任されている。ここでいう狭義のくすりの対象としては、パラセタモール、アスピリン、かぜ薬、軟膏、目ぐすりなどが挙げられている。

くすりの知識と同時に健康の意味も教える <5~7歳>

 狭義のくすり教育の対象には実際の医薬品、例えば錠剤とかカプセルを示しながらその役割を説明し、理解させることから始まり、目的は、くすりが病気を治すのに使われることを認識させることにある。つまり、5−7歳児の学童(Key Stage1)に対するくすり教育は、基本的なくすりの知識を習得させることであり、そのためくすりそのものの知識と同時に、人間の身体についてのことや健康の意味なども教えている。例えば、次のようなものがある。

1.身体の構造ならびにその機能
2.健康を保つ意義
3.学校や家庭などのさまざまな環境下で、危険を認識し、安全な生活を保つことの意義
4.必要に応じて自分でものごとを決めることができること
5.助けを必要としている他人に援助の手を差し出すこと
6.自分の感情を意識し、表現することができること
7.他人との交流が図れること
 
 これらの事項と関連させながら、アルコール飲料、タバコ、くすりなどについても、くすり教育の一環として教えるわけである。だから、ただ「くすり」と言った場合でも、イギリスのくすり教育の現場では、ドラッグまで含めた広範囲のものが対象になっている。このことを理解しておかなければ混乱が生じる可能性がある。

 如何でしたか、20万から30万もの家庭でくすり関連の問題を抱えているなんて、日本では考えられないことですが、その分くすり教育に対する真摯な対応がとても印象にのこりました。
次回は、子どもたちの興味を引くためにトランプの様なカードを使い、ゲーム感覚で授業を進めたり、Q&A方式のシートを使ってのユニークな取組もご紹介します。


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